NAME

Waft - A simple web application framework

SYNOPSIS

Waft は、アプリケーションクラスの基底クラスとなって動作する、CGI用の フレームワークである。

package MyWebApp;

use base qw( Waft );

__PACKAGE__->use_utf8;
__PACKAGE__->set_default_content_type('text/html; charset=UTF-8');

sub __default__direct {
    my ($self) = @_;

    return 'TEMPLATE';
}

クラスメソッド waft は、アプリケーションクラスに属するオブジェクトを 生成して、リクエストに応じたメソッドをディスパッチする。

MyWebApp->waft;

また、テンプレート処理も実装している。

<%

use strict;
use warnings;

my ($self) = @_;

%>

<h1><% = $self->page %></h1>

<p>
Howdy, world!
</p>

DESCRIPTION

Waft は、1ファイルのみで構成された軽量の Webアプリケーションフレームワークであり、Perl 5.005 以上で動作する。(ただし、 UTF-8 を扱うには 5.8.1 以上の Perl と 3.21 以上の CGI が必要。)

リクエストに応じたメソッドのディスパッチ、 オブジェクト変数の保持、 テンプレート処理 等の機能を有する。

DISPATCH

Waft は、リクエストに応じたメソッドをディスパッチする。

CGI が QUERY_STRING を指定されずに単純に GET リクエストされた場合、 Waftは、__default__direct という名前のメソッドを起動する。

http://www/mywebapp.cgi

$self->__default__direct を起動する

form.html というページをリクエストされた場合は、__form__direct という名前の メソッドを起動する。

http://www/myapp.cgi?p=form.html

$self->__form__direct を起動する

form.html から "send" という名前の SUBMIT によりリクエストされた場合は、 __form__send という名前のメソッド。

http://www/myapp.cgi?s=form.html&v=&send=

$self->__form__send を起動する

メソッド __form__send が、"confirm.html" を戻した場合は、Waft は次に、 __confirm__indirect という名前のメソッドを起動する。

sub __form__send {
    my ($self) = @_;

    return 'confirm.html';
}

$self->__confirm__indirect を起動する

ACTION METHOD

Waft がディスパッチするメソッドをアクションメソッドと呼ぶ。 アクションメソッドの名前は、page_idaction_id で構成する。

  • page

    Web の 1ページに相当する単位で、アクションメソッド名の構成と テンプレートの選択のために使用する。$self->page で取得できる。

  • page_id

    page の英数字以外の文字をアンダースコアに変換し、拡張子を除いた文字列。 form.html の場合は "form"、form/header.html の場合は、"form_header" となる。 $self->page_id で取得できる。

  • action

    page へのリクエストの種別。page とともに、 アクションメソッド名を構成する。リンクによるリクエストの場合は "direct"、 FORM からの SUBMIT によるリクエストの場合はその SUBMIT の NAME(以下の例では "send")、

    <input type="submit" name="send" />
                               ^^^^

    クライアントからのリクエストではなく、メソッドの戻り値で指定された page への内部のページ遷移の場合は "indirect" となる。

    なお、FORM からの SUBMIT によるリクエストにおいて、SUBMIT に NAME が指定されていない場合、action は "submit" となる。

    <input type="submit" />
  • action_id

    action の先頭から . までの文字列。direct の場合は "direct"、move.map.x の場合は "move" となる。

アンダースコア 2つ、page_id、アンダースコア 2つ、action_id を連結した文字列をアクションメソッドの名前とする。

__ page_id __ action_id

return $page

アクションメソッドの戻り値を次に処理する page として、 引き続きアクションメソッドのディスパッチを行う。この場合、action は "indirect" とする。

return 'confirm.html'; # Waft は次に __confirm__indirect を起動する

ただし、戻り値を以下のように指定する事で、action に "indirect" 以外の値も指定できる。

return ['form.html', 'direct']; # Waft は次に __form__direct を起動する

もしくは、

return { page => 'form.html', action => 'direct' }; # same as above

'CURRENT'

"CURRENT" は、"現在のページ" を意味する。すなわち return 'CURRENT' は、 return $self->page と同義である。

return 'CURRENT';

return $self->page; # same as above

return 'TEMPLATE'

アクションメソッドの戻り値が "TEMPLATE" の場合、 Waft はアクションメソッドのディスパッチを終了して、page のテンプレート処理に移行する。

sub __form__direct {

    return 'TEMPLATE'; # form.html のテンプレート処理に移行する
}

Waft は、"CURRENT" の場合と同様に page を 変更せず、action を "template" として処理する。すなわち return 'TEMPLATE' は以下と同義である。

return ['CURRENT', 'template'];

もしくは、

return { page => 'CURRENT', action => 'template' };

begin

Waft の処理の開始時にディスパッチされるメソッド。

     begin
       |
       |<---------------------------+
     before                         |
       |                            |
 ACTION METHOD  return 'other.html' |
       +----------------------------+
       | return 'TEMPLATE'
       |
     before
       |
TEMPLATE PROCESS
       |
       |
      end

beginbefore の戻り値は、アクションメソッドのそれと同様に処理される。

sub begin {

    return 'TEMPLATE'; # アクションメソッドをディスパッチせずにテンプレー
                       # ト処理に移行する
}

before

アクションメソッドをディスパッチする前、およびテンプレート処理を行う前に ディスパッチされるメソッド。

sub before {
    my ($self) = @_;

    return if $self->page eq 'login.html';

    return 'login.html' if not $self->login_ok;

    return;
}

end

Waft の処理の終了時にディスパッチされるメソッド。

OBJECT VALUE

Waft が生成するオブジェクトが持つ値をオブジェクト変数と呼ぶ。 オブジェクト変数は QUERY_STRING および FORM に展開され、 ページ遷移後に生成されるオブジェクトに引き継がれる。

sub __default__direct {
    my ($self) = @_;

    $self->{page} = 0;
    $self->{sort} = 'id';

    return 'TEMPLATE';
}

<a href="<% = $self->url('page.html', 'ALL_VALUES') %>">

page.html へ遷移するリンクの QUERY_STRING にオブジェクト変数が展開される


sub __page__direct {
    my ($self) = @_;

    $self->{page} # 0
    $self->{sort} # 'id'

QUERY_STRING の場合は、引き継ぐ値、もしくは "ALL_VALUES" の指定が 必要であるが、FORM の場合はメソッド compile_template が自動的に展開する。

<form action="<% = $self->url %>">
<input type="submit" />
</form>

compile_template が <form></form> の中に自動的に展開する

オブジェクト変数は 1次元のハッシュ変数で管理されるため、 リファレンスを引き継ぐ事はできない。また、undef も引き継ぐ事ができない。

ただし、メソッド set_valuesget_values により 1つのキーでリストを扱う事 ができる。

$self->set_values( sort => qw( id ASC ) );

$self->{sort}                # 'id'
$self->get_value('sort')     # same as above
$self->get_values('sort')    # ('id', 'ASC')
$self->get_values('sort', 1) # ('ASC')

TEMPLATE PROCESS

Waft は、Perl コードをスクリプトレットとして処理するテンプレート処理機能を 持つ。

page をテンプレートファイルとして処理する。 テンプレートファイルはアプリケーションクラスおよびその基底クラスのモジュールが 配置されているディレクトリから検索される。

アプリケーションクラス "MyWebApp" が、基底クラス "Waft::CGISession"、"Waft" を 継承している場合、default.html は以下の順に検索される。

lib/MyWebApp.template/default.html
lib/MyWebApp/default.html
lib/Waft/CGISession.template/default.html
lib/Waft/CGISession/default.html
lib/Waft.template/default.html
lib/Waft/default.html

page@Waft::Allow_template_file_exts に定義されていない拡張子 (.html、.css、.js、.txt 以外の拡張子)である場合は、検索されるディレクトリは .template のみとなる。

lib/MyWebApp.template/module.pm
lib/Waft/CGISession.template/module.pm
lib/Waft.template/module.pm

最初に見つかったファイルをテンプレートファイルとして処理する。

テンプレートファイル内の "<%" と "%>" で囲まれた部分はスクリプトレットとして 処理される。

<% for ( 1 .. 10 ) { %>
    <br />
<% } %>

"<%word=" と "%>" で囲まれた部分は、評価結果がエスケープされて出力される。

<% for ( 1 .. 4 ) { %>
    <%word= $_ %> * 2 = <%word= $_ * 2 %><br />
<% } %>

1 * 2 = 2
2 * 2 = 4
3 * 2 = 6
4 * 2 = 8


<% my $break = '<br />'; %>
<%word= $break %>

&lt;br /&gt;

"<%word=" は "<%w=" もしくは "<%=" に省略できる。スペースを空ける事もできる。

<%word=$self->url%>
<%w= $self->url %>  <!-- same as above -->
<% = $self->url %>  <!-- same as above -->

"<%text=" と "%>" で囲まれた部分は、評価結果がエスケープされ、 さらにタブ文字の展開と改行タグの挿入が行われて出力される。

<% my $text = "Header\n\tItem1\n\tItem2"; %>
<%text= $text %>

Header<br />
&nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; Item1<br />
&nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; Item2

"<%text=" は "<%t=" に省略できる。 "<%word=" と同様にスペースを空ける事もできる。

<%text=$self->{text}%>
<% t = $self->{text} %> <!-- same as above -->

"<%jsstr=" と "%>" で囲まれた部分は、JavaScript に必要なエスケープが行われる。

alert('<%jsstr= '</script>' %>');

alert('\x3C\/script\x3E');

"<%jsstr=" は "<%j=" に省略できて、他と同様にスペースも空けられる。

METHODS

set_waft_backword_compatible_version

引数: $version

クラスメソッド。Waft の過去のバージョンを保持する。いくつかのメソッドと処理が 指定バージョンの仕様になる。

use_utf8

クラスメソッド。内部処理を UTF-8 で行う。5.8.1 以上の Perl と 3.21 以上の CGI が必要。

set_allow_template_file_exts

引数: @extensions

クラスメソッド。クラスのモジュールが配置されているディレクトリから検索する 対象とするテンプレートファイルの拡張子を保持する。詳細は "TEMPLATE PROCESS" を参照の事。

set_default_content_type

引数: $content_type

クラスメソッド。"header" で Content-Type が指定されない場合の値を保持する。 デフォルトは text/html。

waft

引数: @arguments?

戻り値: @return_values

オブジェクトの生成("new")、初期化("initialize")を行い、Waft の処理を 行う。オブジェクトメソッドの場合は Waft の処理のみを行う。Waft の処理の詳細は "DISPATCH" を参照の事。指定された引数を最初に呼ぶメソッドに渡し、最後に 呼んだメソッドの戻り値を戻す。

new

戻り値: $object

クラスメソッド。オブジェクトの生成を行う。

initialize

戻り値: $object

オブジェクトの初期化を行う。

cgi

戻り値: $cgi

CGI オブジェクトを戻す。

set_value

引数: $key, $value

オブジェクト変数に値を保持する。

set_values

引数: $key, @values?

オブジェクト変数に複数の値を保持する。

get_value

引数: $key, $i?

戻り値: $value

オブジェクト変数の値を戻す。指定された引数を複数の値に対する添え字とする。

get_values

引数: $key, @i?

戻り値: @values

オブジェクト変数の複数の値を戻す。指定された引数を添え字とする。

clear_values

オブジェクト変数を全て削除する。

page

戻り値: $page

page を戻す。

action

戻り値: $action

action を戻す。

引数: $response_header

レスポンスヘッダを保持する。"output" が呼ばれるまでに呼ばれる必要がある。 add_header という別名もある。

call_template

引数: $page or $template_path, @arguments?

戻り値: @return_values

引数に指定されたページ、またはパスのファイルのテンプレート処理を行う。詳細は "TEMPLATE PROCESS" を参照の事。include という別名もある。

url

引数: $page, \@keys? and/or @key_value_pairs?

戻り値: $url

URL を戻す。引数に指定されたページとオブジェクト変数のキー、キー値ペアを クエリ文字列に構成する。

$self->{page} = 0;
$self->{sort} = 'id';

$self->url('CURRENT', ['page', 'sort']);
# { page => 0, sort => 'id' } となる URL

$self->url('CURRENT', ['page']);
# { page => 0 } となる URL

$self->url('CURRENT', ['page'], sort => 'name');
# { page => 0, sort => 'name' } となる URL

$self->url('CURRENT', page => 1, sort => 'name');
# { page => 1, sort => 'name' } となる URL

absolute_url

引数: $page, \@keys? and/or @key_value_pairs?

戻り値: $absolute_url

http://、または https:// から始まる URL を戻す。

output

引数: @strings?

引数に指定された値を出力する。テンプレート処理でも使用する。最初に 呼ばれた時には、"header" で指定されたレスポンスヘッダも出力する。

get_content

引数: $coderef, @arguments?

戻り値: $content, @return_values

引数で指定された無名サブルーチンを呼ぶ。その間 "output" に値を出力させずに バッファリングさせて、バッファの内容を戻す。

stash

引数: $class?

戻り値: $hashref

クラスの名前(引数に指定されたクラス、引数が指定されない場合は呼び出し元の クラスの名前)毎に保持する stash のリファレンスを戻す。stash は アプリケーションが自由に使用できるハッシュ変数。

html_escape

引数: @values

戻り値: @escaped_values

エスケープを行う。テンプレート処理でも使用する。

jsstr_escape

引数: @values

戻り値: @escaped_values

JavaScript に必要なエスケープを行う。テンプレート処理でも使用する。

url_encode

引数: @values

戻り値: @encoded_values

URL エンコードを行う。"url""absolute_url" でも使用する。

warn

引数: @messages?

アプリケーションクラスを呼び出し元とする警告メッセージを出力する。

package MyWebApp::Base;

use base qw( Waft );

use Carp;

sub foo {
    my ($self) = @_;

    warn 'error';         # error at - line 10. # here
    carp 'error';         # error at - line 31
    $self->warn('error'); # error at - line 24.

    return;
}

package MyWebApp;

use base qw( MyWebApp::Base );

sub foo {
    my ($self) = @_;

    $self->next;          # line 24

    return;
}

package main;

MyWebApp->new->foo;       # line 31

die

引数: @messages?

"warn" と同様のメッセージを出力して例外を発生する。

next

引数: @arguments

戻り値: @return_values

継承元の同名のメソッドを呼ぶ。

AUTHOR

Yuji Tamashiro, <yuji@tamashiro.org>

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